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<弁理士コラム>出願変更

 1年位前に散歩の途中で一軒家が立ち並ぶ住宅街の一角に砂利が敷かれた空き地を見つけました。これから新しい家でも建つのかな。そんな印象を受ける空き地でした。しばらく空き地のままでしたが、夏前頃に空き地の前を通りかかると、空き地の中に大人一人と小学生くらいの子供二人がいるのが見えました。親子連れと思われるその三人は仲睦まじげに会話をしながらしゃがんで何か作業をしているようでした。よく見ると、空き地の前には遠く離れた都市のナンバープレートを付けた1台の車が止まっています。遠く離れた土地に住む一家が何かの縁でこの場所に家を建てることになり、新しく建てる家が楽しみでわざわざ一家でここまで草むしりでもしに来ているのだろうか。そんな想像をさせる微笑ましい光景でした。夏真っ盛りとなって散歩の回数が減ったこともあり、その後その空き地がどうなったのかすっかり忘れていました。

 夏も過ぎた先日、たまたま近くまで散歩をしたときに、ふと空き地のことを思い出しました。あの空き地どうなっただろうか。そう思いつくと確認したくなり空き地のあった場所へ足を向けることにしました。家も完成してあの親子連れも引っ越してきているかもしれないな、などと期待しながら最後の曲がり角を曲がり空き地のあった場所に目を向けると、そこには綺麗に整備された真新しいコインパーキングがありました。想像した光景とのギャップに混乱しました。コイン・・パーキング・・?あの幸せな家族が住む一軒家はどこへ・・・と、一瞬一軒家が潰されてコインパーキングになってしまったかのような寂しい気持ちになりましたが、すぐにそもそも空き地だったことを思い出しました。別に、計画通りに空き地がコインパーキングになっただけで何も悲しい出来事は起きていません。そうは理解しているのですが、なんとなくその空き地の近くを通らないように、最近では散歩コースを変更しています。

 変更と言えば、知的財産の世界にも出願変更というものが存在します。出願変更とは、特許出願と実用新案登録出願と意匠出願との間で出願形式を他の出願形式へ変更することを言います。端的に言いますと、特許出願として出願したものを実用新案登録出願や意匠出願に変更すること(実用新案登録出願や意匠出願から特許出願への変更や、実用新案登録出願から意匠出願への変更も可能です)を言います。
 各権利には、存続期間の長さや権利化のし易さ等様々な異なる特徴がありますので、出願後に目指したい権利が変わった場合には、出願変更をすることで、出願日を遅らせることなく他の出願へ出願形式を変更することができます。
 なお、変更できるのはあくまでも「出願」であり、登録された特許権や意匠権等を変更できるわけではない点には注意が必要です。
 また、実用新案権のみ、設定登録後に実用新案登録に基づいて特許出願をすることができるという制度が存在します。こちらも変更先は「特許出願」ですので、その後に審査が行われる点に注意が必要です。

弁理士 藤澤 厚太郎

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