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<弁理士コラム>スタートアップ、今年はチャンスです!


先日、スマートフォンのニュースで朝一番に目に入ってきたのが、「スタートアップ企業を政府が支援」との記事でした。科学技術支援の一つとして、技術革新をもたらすスタートアップ企業の支援の強化を目指しているとのことです。
「持続的な経済成長のためには個人やスタートアップなどの知財活用が重要」…ではどのような支援が検討されているのでしょうか?

政府が決定した「知的財産推進計画2022」のポイントの例としては、「大学と大企業とで共有している特許についてのルールを見直し、一定期間の利用がなければ第三者(スタートアップを含む)の利用を可能とする」、「国立大学等が所有する知的財産をスタートアップ企業に移転する際に、現金だけでなくスタートアップ企業の株式や新株予約権を対価とすることができるよう要件が緩和される」等が挙げられていました。
(出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220602/k10013655031000.htmlhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA033KY0T00C22A6000000/

さらに、特許庁の補助金制度としても、「日本出願を基礎としたスタートアップ設立に向けた国際的な権利化支援事業」が令和4年度に新設されました。こちらは、これからスタートアップを立ち上げて事業化を行う予定者(大学、研究機関。大企業、中堅企業はそこからスタートアップを起業予定の場合)が進める外国特許出願に要する経費の一部を補助する制度です。
※なお、中小企業(ベンチャー、スタートアップを含む)、個人事業主の方々は、既存のJETRO補助金制度の対象となっていることから、新設補助金の対象外となっている点にご注意ください。
この制度が新たに設けられたのは、海外での特許出願数が、他の主要国の大学と比較すると日本の大学の出願数が少ない、という現状があり、少しずつでもこれを改善していきたい、という面があります。

日本の弁理士全員が所属している日本弁理士会においても、令和4年度の事業計画の施策の一つとして「スタートアップ知財支援元年」を掲げ、本年度は各地域におけるスタートアップ企業が知的財産を経営に取り入れてさらに発展されることを目指し、サポートに力を入れています。

筆者は幸運にも、前職(研究機関)在職時に、所属研究室での成果を基に起業する現場に立ち会えた経験を有しています。離職後、ご縁があって現在はその企業に弁理士として知財面から関わりが持てていることをありがたく思っています。また、その企業とは別に、大学時代の研究室の先輩が立ち上げた企業の知財面でのサポートも担当させてもらっています。大企業とはいろいろな面で異なっているスタートアップの時間の流れや事業の動きに接する機会を得られていることに感謝し、弁理士として少しでもお役に立てるようにと改めて気が引き締まります。それとともに、スタートアップ企業や個人発明家の方の特許出願、商標出願等のお手伝いをする際には、決して小さくない金額の費用が必要となること、特許等の制度をより適切に活用するにはどうすればよいのか等、その企業ごとに適したサポートの必要性に日々悩みもつきません。専門家である弁理士が頭を悩ませるということは、研究やビジネスの現場におられる方々には分からないことや不安なことがもっと多い、と考えられます。起業時に立ち会った自分の記憶と照らし合わせても、見当が付かないことばかりで、適切なアドバイスが一つでも多くあれば、といった気持ちだったことが思い出されます。
時代は進み、そのような観点からは今年はいろいろな制度が充実しつつあり、スタートアップ企業の方にはチャンスが来ていると感じます。

オリーブ国際特許事務所では、既に起業されたスタートアップ企業やこれからスタートアップを起業される方を積極的にサポートしています。上記制度の利用についてのお問い合わせもお気軽にお寄せいただけると幸いです。詳細は以下のウェブサイトをご覧ください。

https://ip-ups.com/

 

弁理士 河合 利恵

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