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<弁理士コラム>弁理士試験

2022年11月10日に令和4年度の弁理士試験の合格者が発表されました。特許庁が出している統計(※1)によれば、令和4年度は、志願者数3558人に対して合格者数193人だそうです(合格率:6.1%)。また、同統計によれば、平成15年から令和4年までの志願者数は、平成20年をピークに減少傾向にあります。弁理士としては少々寂しいものがありますね・・・。

今回のコラムでは弁理士試験についてお話しようかと思います。
ただし、弁理士試験の制度そのものについては特許庁(※2)や弁理士会(※3)が詳細に説明してくれていますので、このコラムでは私の経験談をお話したいと思います。
ちなみにですが、私は令和3年度の弁理士試験に合格していますので、比較的フレッシュな情報に基づいた経験談をお伝えできるかと思っております。

弁理士試験は、毎年1回行われる資格試験であり、短答試験、論文試験及び口述試験の3つの試験から構成されています。
統計上の合格率は 短答試験<論文試験<<口述試験 となっていますが、個人的な難易度の感覚としては 論文試験>短答試験>口述試験 のように思います。
短答試験は、第1関門の試験です。論文試験及び口述試験が特許・実用新案、意匠、商標の4科目であるのに対して、短答試験は更に条約(パリ条約、PCT条約等)、不正競争防止法、著作権法の3科目が加わります。そのため、最も多くの勉強時間を費やした試験でした。ただ、慣れてくると、問題文を読んでいる途中から問題の予想がつく程度にはなります(ただし、問題文は最後までしっかり読みましょう・・・)。
論文試験は、原則、短答試験をクリアした者でなければ受験することができません。言い換えれば、短答試験をクリアした者たちが論文試験を受けているので、当然、受験生のレベルは高いものとなります。そのため、合格率に反して、論文試験が最も難しい試験のように思いました。特に、条文を見ても分からない裁判例を覚えることにかなり苦労しました。
口述試験は、比較的簡単な試験と言われています。ただし、口述試験は、原則、論文試験をクリアした者でなければ受験することができません。言い換えれば、短答試験及び論文試験をクリアできる能力を持った者ですら落ちる可能性のある試験なのです。そのため、合格率が高いからといって勉強量が少ないわけではありません。むしろ、論文試験の合格発表から口述試験までの期間は非常に短いので、勉強の密度で言えば3つの試験で一番のように思います。そのため、多くの受験生は、論文試験の合格発表を待たずに、自分が論文試験を突破していると信じて、前倒しで口述試験の勉強を始めるのです。私も口述試験の勉強を前倒しで開始しましたが、論文試験の合格発表までの期間は生きた心地がしませんでした。

弁理士試験は簡単な試験ではありませんでしたが、仕事をしつつ試験勉強に打ち込むという経験ができたのは自分の中の大きな財産になっています。

このコラムを見て弁理士/弁理士試験に興味を持ってくださった方が弁理士試験に挑戦することで志願者数が増加して、延いては弁理士業界が盛り上がってくれることを願っております。

弁理士 中村一樹

弁理士中村一樹へのお問い合わせはこちら

※1:https://www.jpo.go.jp/news/benrishi/shiken-kekka/2022_shiken-kekka.pdf
※2:https://www.jpo.go.jp/news/benrishi/shiken-annai.html
※3:https://www.jpaa.or.jp/patent-attorney/howto/