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<弁理士コラム>期限徒過による権利回復の要件緩和

2023年4月1日から期限徒過により消滅した特許権等についての回復要件が「正当な理由があること」から「故意によるものではないこと」に緩和されます(令和3年改正法の施行)。これにより、例えば、期限管理システムへの入力ミスなどの人為的ミスによって期間を徒過した場合にも権利回復の救済措置を受けることができるようになります。

また、制度の濫用を防ぐとともに手続期間の遵守のインセンティブの観点から、権利の回復申請には、以下に示す回復手数料の支払いが義務付けられました。ただし、災害など期間徒過の責任を手続者に問えない場合には、回復手数料が免除されます。

特許:212,100円
実用新案:21,800円
意匠:24,500円
商標:86,400 円

救済措置の対象手続きは以下の通りです。
[特許法による手続]
① 外国語書面出願の翻訳文
② 特許出願等に基づく優先権主張
③ パリ条約の例による優先権主張
④ 出願審査の請求
⑤ 特許料の追納による特許権の回復
⑥ 外国語でされた国際特許出願の翻訳文
⑦ 在外者の特許管理人の特例

[実用新案法による手続]
⑧ 実用新案登録出願等に基づく優先権主張
⑨ パリ条約の例による優先権主張
⑩ 登録料の追納による実用新案権の回復
⑪ 外国語でされた国際実用新案登録出願の翻訳文
⑫ 在外者の実用新案管理人の特例

[意匠法による手続]
⑬ パリ条約の例による優先権主張
⑭ 登録料の追納による意匠権の回復

[商標法による手続]
⑮ 商標権の回復
⑯ 後期分割登録料等の追納による商標権の回復
⑰ 防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録
⑱ 書換登録の申請

今まで国内外の多くのお客様から期間徒過による権利消滅に関し、救済措置はないかとのお問い合わせをいただいておりました。現行法では、「正当な理由」が回復要件になっていることから、この要件に該当するケースがほとんどなく、残念ながら権利回復は難しいです、との回答をすることがほとんどでした。2023年4月1日からは、回復要件が「故意によるものではないこと」となり、要件が大幅に緩和されますので、お問い合わせいただいたほとんどのお客様に対して権利回復のお手続きをご提案できると考えています。2023年4月1日は、我々にとっても待望の改正法施行日です。

弁理士 川上美紀

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