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<弁理士コラム>香港での権利化について

先日お客様より香港での特許権の権利化についてお問合せをいただきました。香港での権利化は少し複雑です。

香港は中国の一部ですので、中国で特許権を権利化することができれば香港においても権利行使することができるのではないか考えてしまいますが、実際にはそうではありません。香港は、中国とは独立した知的財産権に関する法制度を有しています。法制度が別ですので、中国において権利を取得したからと言って、香港でも権利を取得したことにはなりません。また、その逆も言え、香港で権利を取得したからと言って、中国の他の地域でも権利を取得したことにはなりません。

とはいえ、香港で権利化するにあたって、中国における権利化手続が全く関係ないわけではありません。
香港で特許権を取得するには、中国英国又は欧州のいずれかに出願し、そのいずれかの出願公開の日から6ヶ月以内に、香港特許庁に「記録請求手続」を行う必要があります。さらに、上記のいずれかの特許庁での実体審査後、許可通知(特許査定)が発行された後で香港特許庁に「登録付与請求手続」を行う必要があります。この場合には、上記いずれかの特許庁で実体審査を受けていますので、香港において実体審査を受けることはありません。
このように、中国への出願を利用して香港での権利化を目指すことができます。中国以外でも、英国や欧州経由でも権利化を目指せるのは、英国植民地時代の名残だと考えます。

また、香港に直接出願する制度も2019年に設けられました。この場合には、優先日から12月以内に出願する必要があります。この場合には、香港において実体審査を受けることになります。

近年、香港を取り巻く環境は大きく変わってきていますので、知的財産に関する法律も変わることがあるかもしれませんので、注目していきたいと考えます。

弁理士 藤澤 厚太郎

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